【読書レビュー】「ドリルを売るには穴を売れ」マーケティング入門と言えばこの本

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こんにちはフクロウです。「ドリルを売るには穴を売れ」ネット界隈では、マーケティングの書籍としてはよく語られる本ですよね。

なんかわからないけど買ってみたって人もいるのではないでしょうか。私も同じでした。ネット情報から、タイトルに惹かれて買ってみました。副業を頑張りたい人、これからフリーランスで頑張っていこうと思っている人。出会いはネットからの情報が多いのではないでしょうか。

「商品を売りたい」そう思う人がどのように考えて戦略を立てることが必要か。マーケティングってなんだか仰々しいフレーズで少し身構えてしまいますが、まずはあなたが買ったものから分析をはじめるというシンプルで身近なものであり、日常生活がマーケティングによって成り立っているんだと感じた1冊でした。

1 「ドリルを売るには穴を売れ」ってこんな本

① 著者情報

佐藤 義典さんのプロフィール
早稲田大学政治経済学部卒業。米ペンシルベニア大ウォートン校にてMBAを取得。
経営コンサルティング会社ストラテジー&タクティクス株式会社 代表取締役社長

ドリルを売るには穴を売れ

② 本の概要

マーケティングの知識を細かく説明してくれる解説部分と、中堅商社の広岡商事に務める売多真子が上司である大久保博と「いとこ」でコンサルタントの売多勝に導かれ、赤字を垂れ流す『リストランテ・イタリアーノ』の再生に挑戦するストーリーがうまくマッチして、ストーリーを追いながらマーケティングに関する知識を学べる構成となっています。

現場のマネージャーである望と協力しながら、イタリアンレストランの再生を目指す「うれタマちゃん」を、サポートするコンサルタントの売多勝が的確にアドバイスすることにより、物語がうまく進むところや、その裏で活躍する上司の大久保室長、真子をよく思わないライバルキャラのレストラン店長代理の清川、イタリア視察成功の立役者であるガイドのレイさんなど、魅力的なキャラクターとなんだか引き込まれるストーリーにより、マーケティングの知識を事例からわかりやすく学ぶことができます。

③ マーケティングに関する理論

あなたが「買う」ことが誰かにとってマーケティングの重要な一部になる。あなたの買い物そのものがマーケティングでありそれは会議室で起きているのではなく、あなたの日常で起きているのだ。

ドリルを売るには穴を売れ

“マーケティング”とは、「顧客」に関するすべてのこと、売ることに関するすべてのことだとこの本では解説されています。売る人の反対には買う人がおり、買う人の反対には売る人がいる。買う人の購買行動は売る人のマーケティングの重要な一部になる。普段仕事先では何か売っている人も、日々の生活では買うことで生活が成り立っていることが多いはずです。私たちの身近な生活の中にマーケティングは存在するということです。そう考えると、自分の生活を見直すことで見えてくるマーケティングもあるのではないでしょうか。

そんな中、この本ではマーケティングの理論について、解説されています。普段の生活の中で身近にある購買行動については、なかなか言語化することは難しいのではないでしょうか。本書ではマーケティングで知っておくべき4つの理論について明確に説明がなされています。

1 ベネフィット:顧客にとっての価値

■価値の源は人間の3大欲求
 この本のタイトルをここで回収します。顧客がドリルを買うとき、その価値はドリルにあるわけではありません。ドリル使って掘った穴にあります。つまり、ドリルを売りたいのではあれば、穴に価値を持たせることが大切です。価値を持たせるためには、以下の3つの欲求を刺激することが大切です。

1 生存欲求
2 社会欲求
3 自己欲求

2 セグメンテーションとターゲッティング:顧客を分けて絞る

■狙うこととは絞ること
 万人にうける商品をつくるよりも、特定の人のニーズを満たす商品をつくるほうが作りやすいし、売リやすいですね。そのためには、顧客のタイプを分類し、ニーズを満たす顧客層の狙いを定めることで、ターゲットが明確になり、マーケティングが効率的になります。

3 差別化:競合よりも高い価値を提供する

■3つの差別化戦略
 顧客のニーズを満たすものが、その商品でないといけない理由があればその商品は売れます。顧客にとって、競合よりも高い価値を提供できる商品であれば良いわけです。差別化戦略の視点を以下の3つの視点から差別化することにより顧客のニーズにあった商品を考える事ができます。

1 手軽軸:早い・安い・便利
2 商品軸:最新技術・最高品質
3 密着軸:顧客をよく知っている

4 4P:価値を実現するための製品・価格・販路・広告

■顧客に価値を提供して対価をいただく
 顧客にどのような価値(Product)をどのよう(Promotion)に伝えて、どのルート(Place)からいくら(Price)で買ってもらうのか。具体的な戦略を考える指標になります。大切なことがこれらの要素の「一貫性」です。  

1 Product(製品・サービス)
2 Promotion(広告・販促)
3 Place(流通・チャネル)
4 Price(価格)

  

④ 【強い戦略は美しい】マーケティング事例

マーケティングの本質は価値を提供し対価をいただくこと。

ドリルを売るには穴を売れ

本書ではこれを極めて高いレベルで実現したモデルとして、東京ディズニーリゾートのマーケティングの事例を解説しています。提供する価値、ターゲットとする顧客セグメント、高い価値提供による差別化、価値を実現する4P」が美しく融合することでできる「対価を受け取る仕組み」を、徹底的に実行しているというシンプルで最も難しいことを徹底的に実行することによって多くのリピーターを生み出しているということがわかる内容となっています。

2 「ドリルを売るには穴を売れ」をこんな人に読んで欲しい

① マーケティング入門者

マーケティングをこれから学びたい人にとっては、必読の1冊です。内容はわかりやすく読み疲れることはありません。なんの知識もなくても読み進めることができるため、これから学ぶ人の入門書としておすすめの1冊です。

② ビジネス書を読むのが苦手な人

社会人になってビジネス書の1冊でも読もうかと考えた人、はじめてビジネス書を読む時って眠気との戦いになる人が多いのではないでしょうか。私もその一人です。しかしこの本は小説的なストーリーと解説が交互に配置されていて、読者を飽きさせることがありません。ビジネス書の入り口としてもおすすめの1冊です。

③ まとまった読書の時間がとれない人

マーケティングを学びたいけど、なかなか読書する時間がとれない人にとっては、短時間で少しずつ読み進めることになりますね。大抵の場合は前回読んだ内容を忘れてしまってどういった内容だったかがぼんやりした状態から内容に入っていくことがよくありますが、この本では解説部分・ストーリー部分両方が細かく小見出しで区切られていて、区切りが作りやすい体裁になっているため、細かく読み進める場合の小見出しごとに読み進めることで中途半端が解消されます。

3 「ドリルを売るには穴を売れ」から得た教訓

  • マーケティングは顧客の心の中で起きている
    マーケティングは売ることであり、マーケティングを考えることは買う人のことを考えることだと学びました。当たり前のことですが、そこでは、売る人の都合ではなく買う人の都合が優先されるべきですよね。「自分はこうだから」「自分はこうした方がいいと思う」のような考え方は捨て、「こんなものが最近は売れている」「こんな情報がSNSでバズっている」といった世間の情報を優先することが大切だと学びました。
  • 顧客に業界の垣根はない
    1つの商品を売る際に、その商品のライバルにはどういった商品があるのか。
    これを同業他社のライバル企業の商品だけをライバル視していてはいけないということを学びました。ハンバーガー屋さんであるあなたがライバル視するのは、同業者のハンバーガー屋さんだけではなく、ファミレスやラーメン屋なども意識することが大切です。
  • 勝ちより「価値」
    勝つことは嬉しいものですが、その勝ちに「価値」があるかがマーケティングにとっては大切です。「勝つことに意味があるのではなく、価値があるから勝てるのである」という考え方を大切にするべきだと学びました。
  • 一人ではやるには限界がある
    本書のストーリーは、いろんな人の助けを借りながら進行していきます。それらが上手く機能し、良い結果が得られるといった物語からは周りとの協力の大切さを学びました。大久保室長は売多真子に仕事を依頼し、自分の意見もフィードバックしています。勝さんはたくさんの助言をくれます。望さんは現場側の意見をくれます。レイさんがいなければイタリアでの貴重な体験はありません。そうした協力のもとよりよいプランができたことは間違いありません。

4 「ドリルを売るには穴を売れ」のささる名言

マーケティングに関する解説と同時にストーリーが進みます。このストーリーが先が気になる展開で、ページをめくる手が早まってしまいます。そんなストーリーからの刺さった名言をいくつかご紹介します。これ以外にも大変勉強になる名言はあります。

あの人、気ぃ短いな。まあわいも足が短いけどな

ドリルを売るには穴を売れ 大久保室長

 ユーモアのセンス抜群だと思いませんか!?

マーケティングとは「売ること」であり、マーケティングをする会社は「売る人」

ドリルを売るには穴を売れ 大久保室長

 難しく考えるのではなく、シンプルでわかりやすく、マーケティングの外観が伝わりました。

ちょっと今はなしかけるな。アンケートの裏側を見るから

ドリルを売るには穴を売れ 売多 勝

 「仕事で使ってみたい台詞」の3番以内には入りそうだと思いませんか。

なるほど・・・。誰が。どうして、「あの店にしよう」って言い出して、誰が決めるか、って言うのがポイントなんですね

ドリルを売るには穴を売れ 上原 望

 お店を選ぶ側の顧客に選んでもらえる店作りの重要性が伝わりました。

マーケティングというのは当たり前のことばかりだ。君たちが知らないことはないよ。4Pだって当たり前だ。ただ、「知ってる」ことと「できる」ことは全く別だ。

ドリルを売るには穴を売れ 売多 勝

 かじっただけでできる気になってしまいがちですね。でもそれって大概できませんよね。

上質感でもいいし、わくわく感でもいいの。なんていうかな、そこに行く、特別な理由がなきゃ、二度目はないわ。

ドリルを売るには穴を売れ 広岡社長の妻

 巷にありそうな感想。そしてここからも差別化の大切さが伝わります。

そう、想いは重いんだ。自分の想いだけじゃなく、相手の心を考えないとダメなんだ。

ドリルを売るには穴を売れ 売多 勝

 自分じゃなく相手優先。わかっていても我を出してしまいがちですよね。

5 まとめ

「ドリルを売るには穴を売れ」はマーケティングの入り口におすすめの1冊だと感じました。マーケティングをはじめて学ぶ人が難しい理論やワードをならべた文章を何百ページも読むことはできても、イメージがわかないと思います。この本はマーケティングのイメージを事例として売り上げが落ちているイタリアンレストランの再生というテーマを使ってわかりやすく解説してくれています。これにより、書かれている理論への理解が何倍も深まるのではないでしょうか。

「あなたの買い物そのものがマーケティングであり、それは会議室で起きているのではなく、あなたの日常で起きているのだ。」

マーケティングを考える際には机に座って考えるのではなく、今日行ったお店、今日買った商品、今日選んだサービスがなぜそれを選んだのかを自己分析することからはじまるといった学問であることがわかった良著でした。

是非一度読んでみてはいかがでしょうか。

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